2026/08/31
活版印刷のデータをつくるとき、
「線はどのくらいまで細くしていいの?」
「QRコードは印刷できる?」
「ベタがあるデザインは難しい?」
そんな疑問を持つ方も多いと思います。
私たちもお客様からデータをいただいたら、まずデザイン全体を見ます。
というより、これは確認作業というだけではありません。
「これが活版になったら、どんな仕上がりになるんだろう」
毎回、そんなことを想像しながらデータを見ています。
紙に刷られ、少し凹みが生まれたときに、このデザインがどんな表情になるのか。
それを考えるのは、今でも楽しみな時間です。
まず確認するのは「線の細さ」
デザイン全体を見たあと、技術的な部分でまず確認するのが線の細さです。
活版印刷では、データ上ではきれいに見えていても、線が細すぎると版をつくる段階でうまく再現できない場合があります。
私たちの場合、0.1mm程度の線であれば通常扱っていますし、デザインや条件によっては、それより細かな表現ができたこともあります。
ただし、どんな細い線でも印刷できるという意味ではありません。
製版そのものができないほど細い線は、印刷の工夫だけではどうにもできません。
その場合は、お客様に線を太くするなどの修正をお願いしています。
また、別途ご相談にはなりますが、こちらでデータを修正することも可能です。
大切なのは、最初から「これはできない」と決めるのではなく、
デザインの意図をできるだけ残しながら、どうすれば活版印刷として成立するかを考えることだと思っています。
以前、データ上で意図的に「カスレ」をつくったデザインを印刷したことがあります。
カスレを表現するため、かなり細かな部分までデータがつくられていました。
データを見たときには、「これはいけると思う」という感覚はありました。
それでも、実際に刷り上がるまでは少しドキドキします。
そして実際に印刷してみると、狙っていた細かなカスレまでしっかりと表現することができました。
こういう瞬間は、活版印刷をしていて面白いところの一つです。
単純に「細い線だからダメ」と考えるのではなく、その細さが何のためにあるのか。
デザインとして必要な表現であれば、できるだけその雰囲気を残す方法を考えます。
QRコードは「印刷できるか」だけではなく大きさを見る
もう一つ、よく確認するのがQRコードです。
活版印刷でもQRコードを印刷することはできます。
ただし、注意したいのが大きさです。
特にInstagramなどのQRコードは、構成する点が細かくなることがあります。
そのためデータを確認したときに、QRコードが小さすぎないかを見るようにしています。
小さい場合には、まずサイズを大きくすることを検討していただきます。
QRコードは一枚読み取れればいいわけではありません。
例えば100枚印刷した場合、条件によっては100枚すべてで安定して読み取れるとは限らないこともあります。
その可能性も理解していただいたうえで、サイズやデザインを相談しながら進めています。
「何mmなら絶対に大丈夫」と一律に決めるのではなく、実際のデータを見ながら判断することを大切にしています。
ベタがあっても、まず「どうやったらできるか」を考える
活版印刷では、 「ベタ印刷は苦手」 と言われることがあります。
確かに、ベタにはベタの難しさがあります。
ただ、私たちはベタがあるデータを見たときに、最初から「これはできない」とは考えません。
どうやったら、きれいに出せるか。まず、それを考えます。
紙をどうするか。印圧をどうするか。
一度で狙った表現にならないのであれば、刷り方を工夫できないか。
以前には、狙った発色を出すために、同じベタ部分を3度重ねて刷ったこともあります。
もちろん、すべてのベタを3度刷りするということではありません。
そのデザイン、その紙、その仕上がりに合わせて方法を考えます。
「できない」ではなく「どうやったらできるか」
活版印刷には、確かに制約があります。
製版できないほど細い線など、物理的に難しいものもあります。
でも、私たちがデータを見るときに探しているのは、できない理由ではありません。
「どうやったらできるか」です。
線が細ければ、少し太くできないか。
QRコードが小さければ、大きくできないか。
ベタが難しければ、きれいに出す方法はないか。
デザインの意図をできるだけ大切にしながら、活版印刷として美しく仕上げる方法を考えます。
だから、最初から活版印刷用の完璧なデータをつくらなければいけない、と構える必要はないと思っています。
「このデータ、活版でできるかな?」と思ったら
私たちは、データをいただくたびに、「どんな仕上がりになるんだろう」とワクワクします。
同じデザインでも、紙が変われば表情が変わります。
印圧が変われば、見た目も手触りも変わります。
実際に版をつくり、インキをのせ、紙に刷って初めて分かることもあります。
だから、 「このデータで活版印刷できるかな?」 と迷ったときは、最初からご自身だけで判断しなくても大丈夫です。
「もしよければ、データを一度送っていただけませんか。」確認をしてみます。
中村印刷株式会社(うみよこ活版のネコ)では、完成した入稿データからの活版印刷はもちろん、紙やデザイン、印刷方法についてのご相談も承っています。
いただいたデザインを見ながら、その一枚をどうすればきれいに活版印刷として仕上げられるか。 一緒に考えていきたいと思っています。
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