2026/08/10
「活版印刷は、厚い紙ほどきれいに凹む。」
私自身、活版印刷を始めた頃はそう思っていました。
紙に厚みがあれば、その分だけ深く凹み、活版印刷らしい仕上がりになる。そんなイメージを持っていたからです。
厚い紙なら、きれいに凹むと思っていました
あるとき、厚みのあるボード紙で印刷する機会がありました。
「これなら、しっかり凹むはず。」
そう思いながら、少しずつ印圧を調整していきました。
ところが、思っていたように凹む前に、紙の表面が裂けてしまったのです。
「厚いのに、なぜ?」
その瞬間、紙を見る目が変わりました。
何十種類もの紙を試して分かったこと
それからというもの、さまざまな紙で印刷を重ねてきました。
印圧を変えたり、紙目を変えたり。
「もう少し圧を弱くした方がいいかな。」
「紙の向きを変えたらどうだろう。」
そんな試行錯誤を繰り返しながら、その紙に合う条件を探してきました。
思ったように仕上がることもあれば、予想が外れることもあります。
だから活版印刷には、「これが正解」という一つの答えはありません。
私たちが目指しているのは、その紙、そのデザインにとって一番きれいに仕上がる状態です。
私は、それを「正解のない正解」だと思っています。
大切なのは、厚さよりも紙の性質です
経験を重ねる中で気付いたのは、仕上がりを左右するのは厚さだけではないということでした。
紙の柔らかさや繊維の特徴によって、凹み方や印象は大きく変わります。
やわらかくクッション性のある紙は、活版印刷ならではの手触りや凹みを表現しやすくなります。
一方で、硬い紙はシャープで引き締まった表情になることもあります。
つまり、「厚い紙が良い」「柔らかい紙が良い」という単純な話ではありません。
どんな印刷物を作りたいのかによって、選ぶ紙は変わるのです。
「おすすめの紙」は、お客様によって違います
「おすすめの紙はありますか?」
このご質問はよくいただきます。
もちろん、活版印刷と相性が良く、安定した仕上がりになる紙はあります。
しかし、私たちは最初から紙の種類をおすすめすることはありません。
まずお聞きするのは、
「どんな印象にしたいですか?」
ということです。
温かみのある名刺にしたいのか。
すっきりとした印象にしたいのか。
その答えによって、選ぶ紙は変わります。
実際に紙を見比べていただくと、「柔らかい紙だから、こんなに表情が変わるんですね」と驚かれることも少なくありません。
紙を選ぶ時間も、ものづくりの一部です
今でも紙見本帳を開く時間は好きです。
何度も見ている見本帳なのに、お客様が変わると、自然と手に取る紙も変わります。
「この方なら、この紙が似合いそう。」
そんなことを考えながら紙を選ぶ時間も、活版印刷の楽しさの一つです。
活版印刷は、印刷機だけで完成するものではありません。
どんな紙を選ぶかによって、印象も、手触りも、凹み方も変わります。
だから私たちは、「厚い紙だから」ではなく、「そのデザインを一番美しく表現できる紙はどれか」という視点で紙をご提案しています。
紙選びは、活版印刷の仕上がりを左右する大切な工程の一つです。
中村印刷株式会社(うみよこ活版のネコ)では、名刺やショップカードをはじめ、さまざまな活版印刷を制作しています。
紙の厚さや柔らかさ、風合い、デザインとの相性まで考えながら、一つひとつ最適なご提案を行っています。
「このデザインは活版印刷に向いているかな?」
「どんな紙を選べば、自分のイメージに近づくだろう?」
そんな疑問やご相談も大歓迎です。
印刷会社だからこその経験を活かし、お客様の想いがより伝わる一枚を、一緒につくり上げていきます。
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