2026/09/14

9月11日から、下関・長門のさまざまな場所を巡りながら、作品やものづくりに触れる「TipTie 2026」が始まりました。
うみよこ活版のネコも参加し、TAGLINEを会場に活版印刷の展示とワークショップを行っています。
9月13日には、最初のワークショップを開催しました。まだTipTieは途中です。
だから今回は「終わってみてどうだったか」ではなく、最初のワークショップを終えた今、感じていることを書いてみようと思います。
TAGLINEの空間に、自分たちの世界をどうつくるか

今回、TAGLINE会場で展示するのは私たちだけ。
最初に考えたのは、TAGLINEの素敵な空間を壊さずに、その中でどうやって「ネコトハンバーグ(うみよこ活版のネコ×HAMBURG)」の世界を出すか、ということでした。
これは思っていた以上に緊張しました。
活版印刷でつくったものをただ並べるだけでは、普段私たちがどんな場所で、どんな機械を使って印刷しているのかまではなかなか伝わりません。
そこで今回は、実際に使っている印刷機などを撮影し、写真をパネルにして展示しました。
結果的には、このパネルを準備したことで、どうにか自分たちの空気感をTAGLINEの中につくることができたように思います。
実際に展示してみると、もっと大きな写真を使って、印刷機そのものの存在感を見せても面白かったかもしれない。
そんなことも感じました。
これも、実際に展示してみたからこそ分かったことです。
活版印刷を、実際に体験してもらう
9月13日は、最初の在廊日。
会場に到着すると、TAGLINEの常連さんが私たちの到着を外で待ってくださっていました。
活版印刷のワークショップを楽しみに待ってくれている人がいる。
それだけでも、来てよかったなと思える出来事でした。
今回は紙ではなく、革に活版印刷をするワークショップです。

参加された方には、活字を選び、文字を右から組んで、実際に印刷機を使って革に印刷していただきました。
普段、完成した活版印刷を見ることはあっても、自分で活字を組み、印刷機を動かして印刷する機会は、なかなかないと思います。
文字を右から組んでいくこと。

印刷機が動く音。
機械そのものの見た目。
そして、自分で組んだ文字が革に印刷され、ひとつのものとして完成する瞬間。
今回うれしかったのは、単に「きれいに印刷できた」ということではありません。
完成するまでの過程を楽しんでもらえたこと。
そして、普段なかなかできない活版印刷という体験そのものを楽しんでもらえたことでした。
印刷機を見て、実際に触って、自分の手で動かしてみる。
完成したものだけでは分からない活版印刷の面白さを、少しでも感じてもらえていたらうれしいです。
作家さんたちが遊びに来てくれた

ワークショップが比較的ゆっくりと進んでいた時間もありました。
そんな中、TipTieに参加している作家さんたちが遊びに来てくれました。
とてもうれしかった!
デザインのこと。
ものづくりで大切にしていること。
「活版印刷に触れてみたかった」という話。
身につけているものが素敵で、そのことについて聞いてみたり。
岐阜県郡上市から来られた方から、夜通し踊る郡上の盆踊りの話を聞いたり。
話題はどんどん広がっていきました。
作っているものはそれぞれ違います。
それでも話をしていると、どこか近い感覚を持っていることに気づきました。
人の手によって生まれる時間に価値を感じること。
なんでもすぐにできるものだけが、いいものではないということ。
すべてが均一で、必ずしも完全である必要はないということ。
活版印刷も、一枚一枚、機械を動かしながら刷っていきます。
効率だけを考えれば、もっと速く、もっと均一に印刷する方法はいくらでもあります。
それでも、この方法だから生まれるものがある。
違うものをつくっている人たちと話しているのに、根っこの部分ではどこか同じ空気を感じられたことが、とても面白い時間でした。
「no though co(のそうこ)」にも少しだけ
せっかくの回遊型イベントなので、私自身も他の会場へ
……と言っても、まだ一つしか行けていません。
TAGLINEの近くにある「no though co(のそうこ)」へ行ってきました。
そこでは、木漆工藝をされている角俊弥さんがマリア像を彫っていたり、珈琲焙煎士のわたなべさんが珈琲を提供しながら絵を描いていたり。

民衆的工藝人のとんちさんは絨毯をつくり、サラチエミさんはキャンドルをつくっていました。
完成したものを見るのももちろん面白い。
でも、実際に人の手でつくられていく姿を見ていると、

「手仕事って、ずっと見ていられるな」 と思いました。
木を彫ることも、絨毯をつくることも、キャンドルをつくることも、活版印刷も、やっていることはまったく違います。
それでも、人の手が動いて、少しずつ何かが形になっていく。
その時間そのものに惹かれるのかもしれません。TipTieは作品を見るだけではなく、こうした「つくっている時間」に出会えることも面白さの一つだと感じました。
チーズケーキから急遽「余白の時間」
ワークショップの合間には、TAGLINEのチーズケーキをいただきました(レモンタルトと悩みました)。
めちゃくちゃ美味しかった!!

そしてチーズケーキを食べながら、急遽始まったのが「余白の時間」。
「余白の時間」は、うみよこ活版のネコとデザイナーのHAMBURGさんで、紙やデザインについて夜な夜な集まり話をしている時間です。
場所がTAGLINEに変わっても、結局いつものように紙やデザインの話をしていました。
さらにこの日は番外編として、近くの文具店「金木犀」さんとも、文具や活版印刷について話す時間がありました。
最初から予定していたわけではありません。
でも、こうして予定していなかった会話や時間が自然に生まれていく。
振り返ってみると、それもこの日の印象に強く残っています。
TipTie2026はまだ始まったばかり
最初のワークショップを終えて一番印象に残っているのは、作家さんたちとの交流と、普段であればなかなか出会うことのない下関の方々と話ができたことでした。
活版印刷を展示するために参加したTipTieですが、活版印刷を持って外へ出たことで、新しい人や考え方に出会う時間が生まれています。
TipTieは、まだ途中です。
私自身、まだ他の会場を一つしか回れていません。
これからどんな作品を見られるのか。
どんな人と話ができるのか。
そして、TAGLINEにはどんな人が遊びに来てくれるのか。
まだ分かりません。
活版印刷が好きな方には、ぜひ実際の印刷機を見て、触れてほしい。
そして、活版印刷をまだ知らない方にも、「こんな印刷があるんだ」と知ってもらえたらうれしいです。
TipTie 2026は9月23日まで。
まだ途中だからこそ、この先にどんな時間が生まれるのか、私たち自身も楽しみにしています。
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