2026/09/26
今は、印刷物もインターネットで簡単に注文できる時代です。
データを送れば、全国どこにいても印刷物をつくることができる。価格も分かりやすく、納期も早い。
便利になったなと思います。
一方で、光市で印刷会社をやっている私たちとしては、少し思うところもありました。
地域の中に印刷会社があっても、地域の印刷物が必ずしも地域の会社でつくられるわけではありません。
もちろん、ネット印刷を否定したいわけではありません。
ただ、
地域の仕事を地域の会社に頼むことには、印刷物が出来上がること以外にも、何か意味があるんじゃないか。
地域の会社に仕事が生まれれば、そこからまた新しいものや活動が生まれ、それが地域に返っていくこともある。
「地元の企業を大切にしてください」と言葉で伝えるだけではなく、だったら自分たちで一つ、その形をつくってみよう。
その一つの答えとしてつくったのが、「光市活版印刷カレンダー2026」でした。
最初は、まったく違うカレンダーを考えていました
実は最初から、光市のカレンダーをつくろうとしていたわけではありません。
その前に考えていたのは、山口県のドライブスポットを題材にした活版印刷のカレンダーでした。
1月から12月まで、山口県内のドライブスポットを一つずつ取り上げ、それを企業とのコラボレーションでカレンダーにする。
そんな企画を考えて、実際に企業へ持っていったことがあります。
結果は、採用されませんでした。
そこで終わってしまえば、それまでです。
でも、企画そのものは面白いと思っていました。
それなら、
「自分たちでやってみよう」 と考えました。
企業とのコラボレーションではなく、中村印刷として、自分たちでカレンダーをつくって販売する。
そこから「光市活版印刷カレンダー」の企画が始まりました。
わざわざ『買ってもらう意味』をつくりたかった
自分たちでカレンダーを販売するとなると、次に考えたのが、
「どうして、このカレンダーを買ってもらうのか」ということでした。
カレンダーそのものは、世の中にたくさんあります。
まだまだ無料でもらえるものもありますし(今は少なくなってきましたが…)、スマートフォンがあれば日付を確認することにも困りません。
そんな中で、わざわざお金を出して買ってもらう。
そこには、何か理由が必要だと思いました。
そこで考えたのが、私たちが普段から取り組んでいる活版印刷です。
他では簡単にできないこと。
そして、印刷された紙を実際に手に取ったときに、普通の印刷とは少し違うと感じてもらえるもの。
それなら、活版印刷でカレンダーをつくるのが一番手っ取り早い。
そんなところから、活版印刷のカレンダーをつくることにしました。
光市の会社なら、光市を題材にしたい
では、何をカレンダーにするのか。
ここは、あまり迷いませんでした。
私たちが光市の企業である以上、まず光市を大切にしたいと思っていたからです。
そこで改めて、 「光市らしいものって何だろう」 と考えました。
私自身、光市民になってみて感じたことがあります。
光市では、それぞれの地域で祭りや行事が行われています。
そして、地域の人たちの参加率が高い。
大人だけではなく子どもたちも参加していて、その日が来るのをみんなが楽しみにしている。
これは、光市で暮らすようになってから感じた、このまちの面白さの一つでした。
だったら、有名な観光地だけを並べるのではなく、光市で一年を過ごしていると出会う風景や地域の行事をカレンダーにしてみよう。
そう考えました。
12か月の「光市らしさ」を探す
そこから、12か月それぞれのモチーフを考えていきました。
私の中でいくつか候補を挙げて、社内のデザイナーと相談しながら一つずつ決めていきました。
1月は、室積から見る初日の出。
春には冠梅園や島田川の桜と菜の花。
5月は普賢まつり。

夏には虹ケ浜の花火や、小周防の周防柱松。
秋には早長八幡宮の秋まつり。
そして冬には、冠山総合公園のイルミネーション。
ほかにも、光ふるさと郷土館のひなまつり、あじさい苑、伊藤博文公生誕祭、おっぱいまつりなど、光市の一年を12か月に落とし込んでいきました。
こうして並べてみると、単なる「光市の名所カレンダー」とは少し違うものになりました。
その場所で暮らしている人にとって、「ああ、今年もこの季節が来たな」 と思えるようなもの。
光市で暮らす一年そのものを、活版印刷で表現するようなカレンダーになったと思います。
つくるだけではなく、光市に返したい
そして、このカレンダーを自分たちでつくろうと考えたとき、もう一つ最初から決めていたことがありました。
売上の一部を、光市へ寄付することです。
これは後から付け加えたものではありません。
「自分たちでカレンダーをつくろう」と考えたときから、寄付までセットで考えていました。
そもそもの始まりには、
「地域の会社を使うということには、どんな意味があるんだろう」という思いがありました。
地域の中で仕事が生まれる。
その仕事から新しい商品が生まれる。
それを地域の人たちが買ってくれる。
そして、そこで生まれた売上の一部が、もう一度地域へ戻っていく。
言葉で「地元企業を大切に」と言うよりも、実際に一度やってみた方が分かりやすい。
そんな気持ちもありました。
200部、全部売るつもりでした
こうして完成した「光市活版印刷カレンダー2026」
つくったのは、200部です。
『限定200部』
そして私自身は、最初から200部すべてを売るつもりでいました。
どれだけの人が活版印刷に興味を持ってくれるのか。
光市のカレンダーだからと手に取ってくれる人はいるのか。
「売上の一部を光市へ寄付する」という考えに共感してもらえるのか。
実際に販売してみなければ分かりません。
ただ、せっかくやるなら全部届けたい。
そう思って始めた200部でした。
結果として、このカレンダーはたくさんの方に手に取っていただくことになります。
そして、カレンダーをつくろうと考えたときから決めていた「光市へ返す」というところまで、ようやくたどり着くことができました。
その話は、後編で書こうと思います。
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