2026/10/27
室積のMYSPOTさんで、熊本の活版印刷を体験
山口県光市の室積にあるMYSPOTさんで、熊本のNINE LETTERPRESS(ナインレタープレス)さんによる活版印刷の出張ワークショップに参加してきました。
NINE LETTERPRESSさんのことは、以前からMYSPOTの店主さんに聞いていました。
昨年もワークショップが開催されていたのですが、そのときは参加せず。今年、初めて足を運びました。
今回は、私たちのオリジナルブランド「ネコトハンバーグ」のメンバーとして、工場長、田嶋さん、私の3人で参加しました。
普段は活版印刷を仕事にしている私たちですが、ほかの工房のワークショップに参加する機会は、そう多くありません。
自分たちとは違う機械や活字を使って、どんな印刷ができるのか。そんなところにも興味がありました。
大きな木活字で「NEKOTOHAMBURG」を印刷
今回のワークショップで使用したのは、木活字(Wood Type)です。
木活字は、その名前のとおり木でできた活字。私たちもいくつか持っていますが、普段の仕事では金属活字を使うことが中心です。
木活字は一文字一文字が大きく、金属活字とはまた違った存在感があります。
そして、印刷に使用したのは鉄製の校正用印刷機。
ずっしりとした機械で、A3より少し小さいくらいの大きさまで印刷できるそうです。
私たちが普段使っているハイデルベルグのプラテンとは、機械の構造も印刷の仕方も違います。
大きな木活字を使い、大きな紙面に印刷できる。これだけでも、普段とは違う面白さがあります。
今回、3人で考えて組んだ文字は、私たちのブランド名「NEKOTOHAMBURG」。
ただ横一列に並べるのではなく、「NEKO」「TO」「HAM」「BURG」という4段のレイアウトにしました。
大きな文字を組み合わせながら、どんな配置にするかを考える時間も楽しいものです。
そして、完成した印刷物には、ところどころに少しカスレがありました。
でも、それがまたいい。
インキの乗り方が完全に均一ではないところにも、木活字ならではの表情を感じます。
普段から印刷に携わっていても、使う活字や機械が変われば、また違う面白さがあるんだなと思いました。
大阪から熊本へ。思いがけないつながり
今回、印刷体験と同じくらい嬉しかったことがあります。
MYSPOTさんが計らってくださり、お店のお昼休憩中にNINE LETTERPRESSさんと直接お話しすることができました。
そのときに聞いたのが、大阪の「桜ノ宮 活版倉庫」さんとのつながりです。
私は以前、大阪の桜ノ宮 活版倉庫さんを訪ねたことがあります。
NINE LETTERPRESSさんは、そこから山口で活版印刷をしている人の話を聞いていて、私たちの名前も以前から知ってくださっていたそうです。
これは、それはもう嬉しかったですね。
山口で活動している私たちのことを、大阪の方が話してくださり、その話が熊本まで伝わっていた。
普段、自分たちの工房で仕事をしているだけでは、なかなか実感できないことです。
活版印刷という共通点があることで、離れた土地にいる人とも、こうしてつながっていく。
今回の出会いは、そんなことを感じる機会にもなりました。
同じ活版印刷でも、表現はずいぶん違う
NINE LETTERPRESSさんの活動を見ていて感じたのは、しっかりと独自の世界観ができているということです。
木活字を使った大きな印刷物は、その個性の一つだと思います。
木活字を中心に表現している人は、私の知る範囲ではそれほど多くありません。
私たちにも木活字はありますが、普段の制作では金属活字やプラテンを使うことが中心です。
だからこそ、NINE LETTERPRESSさんのような表現ができることは、正直、羨ましくもありました。
また、ブランドとの企画や、インテリアに関わる商品展開など、活版印刷を使った仕事の広がり方にも刺激を受けました。
同じ活版印刷をしていても使う機械が違えば、できることも違います。
どんな活字を使うのか。どんな大きさで印刷するのか。何をつくり、誰に届けるのか。
そうした選択の積み重ねが、それぞれの工房の個性になっていくのだと思います。
直接は聞いていませんが、今回3人で参加したなかでも、うちの工場長は「やっぱりプラテンが好きなんだろうな」という雰囲気がありました。
同じ印刷を見ていても、興味を持つところは人それぞれ。
それもまた面白いところです。
自分たちは、これからどう進んでいくのか
最近、活版印刷に取り組む人や体験できる場所が増えてきたように感じます。
一方で、活版印刷と一言でいっても、使う機械や技術、目指す仕上がりはさまざまです。
私たちも、古い印刷機を使いながら、自分たちがつくるものの価値をどう伝えていくか日々考えています。
NINE LETTERPRESSさんの活動に触れたことは、そんな自分たちのこれからを考える、一つの道しるべになるように思いました。
同じ方向に進みたいとか、違う方向を目指したいとか、そういうことではありません。
それぞれの工房に、それぞれの得意なことがあり、それぞれの世界観がある。
だからこそ、ほかの工房の活動を見るのは面白いし、自分たちの知らなかった可能性にも気づかされます。
今回、木活字で印刷した「NEKOTOHAMBURG」は、そんな体験の記念にもなりました。
そして何より、MYSPOTさんがつないでくださったご縁や、大阪から熊本へと伝わっていた私たちの名前。
印刷を通じて、人と人がつながっていることが嬉しかったです。
私たちも、うみよこ活版のネコとして、ネコトハンバーグとして、これからもっと活動の幅を広げ、活躍していきたいと思います。
NINE LETTERPRESSさん、MYSPOTさん、ありがとうございました。
山口県光市で活版印刷に取り組む「うみよこ活版のネコ」では、活版名刺やオリジナル印刷物の制作・ワークショップなどを行っています。
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